シャンクス率いる”赤髪海賊団”が、美穂の住んでいる街を拠点にしてから1年が過ぎた頃、

そろそろ拠点を移したいという仲間の希望も出始め、シャンクスは1人悩んでいた。

 

危険の付きまとう過酷な航海に美穂を連れて行く事は出来ないと思う気持ちと、

大事な女を傍に置いておきたいと思う気持ちが入り混じり、出口の見えない迷路の中を彷徨っている・・・

むろん海賊の一統を率いる男が、そんな悩みを持っているなどと知られる訳にはいかず、

クルーの前では普段通りに振舞っていた。

 

 

閉店時間になり、店の片づけをしている美穂のもとへシャンクスがやって来た。

「今日は遅かったのね。 もう少しで片づけ終わるから、お酒でも飲んで待っててくれる?」

美穂が嬉しそうにシャンクスに微笑みかける。

「あぁ。」

シャンクスはカウンターに座り、静かに酒を飲み始めた。

 

どこか元気のない様子に不安を感じ、急いで店の片づけをする美穂。

あらかた片づけ終わるとシャンクスのもとへ駆け寄り、心配そうに顔を覗き込む。

 

「・・・どうしたの? 元気無いわね・・・何かあったの?」

「・・・今日は美穂にどうしても話したい事があって来たんだ。」

「話したい事?・・・なぁに?」

「・・・・・・・・・」

 

シャンクスは辛そうに暫くの間ずっと黙っていたが、意を決し口を開いた。

 

「次の航海で、もうこの街には戻って来ない・・・美穂にはここで・・・

他の誰かと結婚でもして、幸せに暮らしていって欲しい・・・」

 

突然のシャンクスの言葉に足が震え、その場に座り込んでしまう美穂。

暫く何も言えず呆然としていたが、震える声で喉に詰まった言葉を搾り出す。

 

「・・・私の事・・・嫌いになったの?・・・飽きちゃった?・・・」

「ちがう! そうじゃない!!」

 

シャンクスは椅子から飛び降り、必死に涙をこらえている美穂を抱きしめる。

 

「・・・愛しているから・・・連れては行けない。 いつ死んでしまうか判らないような

危険な航海に連れて行く訳にはいかないんだ!!」

 

美穂の瞳からポロポロと涙が零れ落ち、唇からは堰を切ったように言葉が漏れる。

 

「わかってない・・・シャンクス、全然わかってない!・・・貴方無しで50年生きるより・・・

たった3日しか生きられなくても貴方の傍に居られる方が幸せなのに!!  私の一生を勝手に決めないでっ!!」

 

美穂はシャンクスの腕を離して立ち上がると、自分の部屋に閉じ篭ってしまった。

扉の向こうから聞こえる嗚咽にどうする事も出来ず、シャンクスはただ立ち尽くしていた。

 

 

 

 

次の日、別の酒場ではクルー達と飲んでいるシャンクスの姿があった。

いくら飲んでも酔うことが出来ず、黙々と酒を口に運ぶシャンクスのもとに一人の男が歩み寄る。

 

「・・・しけたツラして何て飲み方してんだ。」

 

シャンクスが顔を上げると、そこには副船長のベックマンが立っていた。

 

「・・・そんなにヒデェか?」

 

シャンクスが作り笑いをしてグラスの酒を飲み干すと、

ベックマンは隣に腰掛け、煙草に火をつけた。

 

「・・・他の奴等は気付いちゃいないがな・・・」

「ははっ・・・他の奴等はごまかせても、お前の目はごまかせねぇみてぇだな。」

 

シャンクスが苦笑いを浮かべ、空になったグラスに酒を注いでいると、

見かねたようにベックマンが口を開いた。

 

「・・・あの娘の事だろう?」

 

ベックマンの言葉にシャンクスが驚いた顔をしていると、

不敵な笑みを浮かべ、続けて話す。

 

「あんたのポーカーフェイスが崩れるのは、あの娘の事しかないからな・・・

おおかた航海に連れて行くかどうか悩んでるってトコじゃないのか?」

 

「・・・全て、お見通しってぇ訳だ。」

 

シャンクスはグラスの酒を眺めながら苦笑いを浮かべる。

 

「あの娘の性格だと・・・もしこの街に残していったとしても、何処までもあんたを追ってやって来るぞ? 

ましてやココはグランドラインだ・・・一人で海になぞ出たら一瞬にして海の藻屑になる・・・」

 

シャンクスはグラスを見つめたまま、黙って聞いている。

 

「あんたにとってのグランドラインのお宝は、あの娘だって事も

自分で判ってるんだろう? その宝を投げ出して・・・出航出来るのか?」

 

カウンターに肘をつき、額に手を当てて大きな溜息をつくシャンクス。

 

「まぁ・・・俺がどうのこうの言ったって、結論を出すのはあんただがな・・・。」

 

ベックマンは煙草を揉み消すと、席を立ちヤソップ達の居る方へ歩いていった。

シャンクスは暫く考え込んでいたが、グラスを取り、入っていた酒を一気に飲み干すと酒場を出て行った。

 

「まったく・・・世話の焼ける人だな・・・」

 

少し離れた所からシャンクスを見ていたベックマンは

口元に笑みを浮かべ、煙草に火をつけた。

 

 

 

 

部屋の中では、ベッドに横たわり呆然としている美穂の姿があった。

昨夜のシャンクスの言葉を思い出すたびに、身体が震え、瞳からは涙が零れ落ちる。

 

「・・・涙って涸れないものなのね・・・」

 

ポツリと言った時、扉をノックする音が聞こえた。

 

「美穂・・・入るぞ?」

 

愛しい人の声に反応し、心臓の鼓動が早くなる。

扉を開け、シャンクスが部屋に入ると、美穂は壁側を向き布団に潜ってしまった。

 

「美穂・・・昨日の事だが・・・」

「やめてっ! 聞きたくないっ!!」

 

シャンクスは美穂の傍に行き、布団を剥ぎ取ると、肩を引いて自分の方を向かせた。

美穂は顔を逸らし、固く目を閉じて身体を震わせている。

 

「聞いてくれ、美穂・・・昨日は悪かった・・・俺が間違ってた。 

美穂を残して出て行く事なんて出来る訳が無いのに・・・」

 

美穂が眼を開けて振り向くと、シャンクスが優しく微笑む。

 

「シャンクス・・・」

「・・・明日、出航する事になった。美穂が嫌だと言っても、さらって行くつもりだ。

もう二度と離さねぇから・・・覚悟しておいてくれ。」

「ふふっ・・・それは私のセリフ。・・・もし置いて行かれたら、

一人ででもグランドラインに漕ぎ出してやるつもりだったもの・・・」

 

美穂の言葉にシャンクスが笑い出す。

 

「何よぉ・・・私、何か変な事を言った?」

 

美穂が拗ねた瞳で見上げると、シャンクスは笑いながら話す。

 

「はははっ・・・いや、ベックマンの言ってた通りだと思って・・・」

「副船長さん?・・・ふ〜ん・・・貴方より私の事を判ってるのね・・・

あの人に惚れれば、こんなに泣かされずに済んだのかしら?」 

 

美穂が悪戯っぽく笑うと、シャンクスが真剣な瞳をして見つめる。

 

「・・・冗談よ!? 本気にしないで! 私には貴方以外の人なんて見えないもの!!」

 

美穂が瞳を潤ませてシャンクスを見つめると、

シャンクスは軽くキスをして耳元で囁く。

 

「誰にも渡さない。・・・美穂は俺の宝だからな。」

 

美穂の瞳から嬉しさのあまり涙が溢れ出す。

シャンクスはそれをキスで拭い、唇を重ねると深く舌を絡める。

美穂がシャンクスの首に腕を回し、強く抱きつくと、

シャンクスはそのまま覆い被さり、頬・首筋・胸元と優しくキスを落としていく。

 

「・・・もう二度と、あんな事言わないでね? 凄く・・・辛かった・・・

貴方の居ない人生なんて・・・考えられない・・・」

「あぁ・・・約束する。二度とお前を悲しませるような事は言わない。・・・愛してるよ・・・美穂・・・」

 

胸の膨らみを軽く掴み、突起した部分を舌先で突付くと

美穂の身体がピクリと動き、唇からは甘い吐息が漏れる。

軽く吸い付き、跡を残しながら次第に下肢に移動していくシャンクスの髪を掴み

与えられる快感に身体の芯から熱くなるのを感じる美穂。

 

「・・・はぁ・・・シャンク・・スゥ・・・好きぃ・・・」

 

足の間に割り込み片足を肩に掛けると濡れた部分があらわになる。

舌先で突起した部分を弄りながら濡れた部分に指を入れると

美穂が身体を仰け反らせて甲高い声を上げる。

 

「やぁっ・・・だぁ・・・ぁはっ・・・・」

 

艶っぽい声に反応するかのようにシャンクスの指の動きが早くなっていくと、

耐えられなくなった美穂が瞳を潤ませてねだる。

 

「も・・・だめぇ・・・お願い・・・・きてぇ・・・」

 

シャンクスは身体を起こし、美穂の腕を首に回させると、

ゆっくりと美穂の秘所に自身を割り込ませていく。

 

「んぁっ・・・はっ・・・・」

 

徐々に早くなっていくシャンクスの動きに合わせて、

繋がった部分から厭らしい音が聞こえてくる。

 

「・・美穂・・・愛してる・・・もう離さない・・・」

「私もぉ・・・好きぃ・・・シャンクスがぁ・・・好きぃっ・・」

 

美穂の唇から吐息混じりの言葉が零れ、瞳から一筋の涙が頬を伝う。

 

「・・・くっ・・・うっ・・・」

「も・・・だめぇ・・・いっ・・・あぁっ!」

 

シャンクスが力強く突き上げると、美穂は身体を仰け反らせ、

そのまま意識を飛ばしてしまった。

 

その夜、心地よい疲労感と、前日の睡眠不足の為か、

美穂は朝まで目を覚まさなかった。

 

「・・・またやっちまった・・・」

 

シャンクスは幸せそうに寝息をたてている美穂の額に優しくキスをし、

右腕に抱いたまま眠りについた。

 

次の日、シャンクスの口からクルー全員に美穂の乗船が告げられると、

一斉に歓喜の声が上がった。

美穂がベックマンの所へ行き、礼を言うとベックマンは苦笑いを浮かべ答えた。

 

「こいつら全員の面倒を見なくちゃいけないんだ・・・良かったかどうかは判らないな。」

 

美穂の楽しくも大変な航海は、今、始まったばかりである・・。