港町の路地裏を2人の男女が走っている。 
その後ろからゴツイ男が3人追って来ている…
どうやら追いかけられているようだ。


「いやぁぁ〜〜〜っ!! ウソップ! あんた男でしょ!! 
勇敢な海の戦士を目指してるんでしょっ!! 何とかしなさいよぉ〜〜〜〜〜っ!!!」

「む、むちゃ言うなぁ〜〜! お前、俺様の弱さを侮るんじゃねぇぞっ!!」

「威張って言うことかぁ〜〜っ!」


上手く逃げ続けていたが、ついに道は行き止まり
袋小路に追い詰められてしまった。


「な、何でウソップと一緒の時に限ってこんな事になるのよぅ〜〜〜っ!」

「ほ、ほら見ろぉっ! だから言ったじゃねえかっ!! 
今日の俺はツイテナイって占いの本に書いてあったんだ〜〜〜!!」

「言ってる場合かっ! 何とかしなさいよぉ〜〜〜っ!!」


ゴツイ男達が、ニヤニヤと笑いながら二人に近づいてくる。


「さぁ、もう逃げ道はないぞ! 観念しなぁっ!!」


男達が手に持っていた剣を振り上げ、にじり寄って来る。


「ひぃ〜〜〜〜〜っ!!」


ナミとウソップが抱き合って竦みあがっていると、


「あらあら、大変ねぇ…クスクス…」


上の方から少し低い女の笑い声が聞こえる。
ナミとウソップが上を見上げると、髪の長い女が覗き込んで笑っている。


「何笑ってんのよ、あんた! か弱い少女が殺されかけてるっていうのに…
助けてやろうとか思わないのっ!!」

「そ…そうだぞっ! だずげでぐでぇ〜〜〜〜っ!!」

「…助けてあげてもいいけど…高くつくわよ? いいの?」


女がニコニコしながら聞き返す。
”高くつく”の言葉に一瞬抵抗を覚えたが、
背に腹は変えられずナミが叫ぶ。


「何でもいいから助けて〜〜〜っ!!」


そのやりとりをジッと見ていた男たちが、上を見上げ女に向かって凄む


「何だぁ!? お前…俺たち3人相手に勝てると思ってんのか? あぁ!?」

「おもしれぇ…降りてこいよ! 遊んでやるぜぇ!?」

「…お? よく見りゃイイ女じゃねぇか。楽しませて貰おうぜ! へへへっ…」


女はニッコリ笑って口を開く


「ふふっ…3人で気持ちイイ事でもしましょうかvv」


そう言い終えると、女は3人の男達の間に飛び降りた。


「さぁ、ぼうや達…何して遊ぶ?…ふふっ…でも、もう出来ないか。」


そう言って手に持っていたモノをゴミ箱の方へ投げ捨てる。
と、同時に3人の男達がバタバタと倒れていく。
一部始終を見ていたナミとウソップだが
一瞬の事で何がなんだか判らず、恐る恐る女に聞いてみる


「な…何したの…今…??」

「ん?…抜き取ったのvv」


汚れた手をハンカチで拭きながらニッコリ答える女


「抜き取ったって…何を?」

「ふふ…心臓vv」

「し…ブクブク…」


ウソップは口から泡を吹いて倒れ、
ナミは腰を抜かし、その場に座り込んでしまった


「さぁvv ビジネスの話をしましょうかvv 約束したわよね?
私、タダ働きは嫌いなの。守らなかったらどうなるか…判ってるわよね?」


女はナミの目の前に座りニッコリ微笑んだ。
顔はニコヤカだが目は笑っていない


「い…いくら払えばいいの?」


ナミが恐る恐る聞くと、女はニッコリ微笑んで
ポケットから紙を取り出し目の前に広げて見せた。
…ルフィの手配書だった。


「この人に会いたいんだけど…あなたたちの船長よね? これ、この子でしょ?」


そう言いながら隅っこに写っているウソップの後姿を指差し、
その指を、ゆっくりと泡を吹いて倒れているウソップに向けた。


(な…何者なの? この女…賞金稼ぎ? 
どうしよう…何とか上手く逃げられないかしら…?)


ナミがあれこれ考えていると


「私…嘘つきは嫌いよ?」


優しい口調で、ニッコリと微笑みながら話す女。
しかし、やはり目は笑っていない…
さすがのナミも、背筋に冷たいものを感じた。


「み・・・港の近くの崖の所に、船を止めてあるわ」



さすがのナミも (先ほどの事もあり)
素直に従った方がいいと感じ、とりあえず連れて行く事にした。







船に着くと、サンジが船の縁から身を乗り出し手を振っていた。



「ナミすわぁ〜〜ん! お帰りなさ〜〜い!!」



ハイハイと適当にあしらって船に乗り込むナミ。



「サンジくん、ルフィは?」

「あぁ・・・あいつならさっきメリーにぶら下がってブツブツ言ってましたよ」

「そう・・・コッチよ。来て!」



ナミが女を船首の方へ連れて行こうとすると、サンジが初めて女に気づく。



「ぬぉっ! ナ・・・ナミさん、この美しいレディは一体・・・!?」



思わず女の傍に走り寄り、手を取るサンジ。

サンジの顔を見て、女は一瞬驚いた顔をしたが、すぐその場を立ち去った。





船首ではルフィがメリーの首にぶら下がり、頬を膨らませてブツブツ言っていた。

よほどナミに置いて行かれたのが気に入らなかったらしく
いくらナミが呼んでも、ちっとも上がって来なかった。



「ルフィ!! いい加減にしなさい!! 上がって来て!!」

「何だよぉー・・・置いてったくせにぃ・・・」



あんまりナミが怒るので、渋々ルフィがメリーの上によじ登ってきた。



「あんたが、おやつ食べ過ぎてグースカ昼寝しちゃったんでしょ!!」

「そーだけどさぁ〜〜・・・起こしてくれてもいいじゃぁ〜ん・・・」



ルフィが納得出来ない表情をして小さい声でブツブツ言っている



「あなたがモンキー・D・ルフィ?」



突然、見た事のない女に声を掛けられ、ビックリした様子のルフィ



「お前 誰だ!?」

「私の名前は。あなたに聞きたい事があって彼女達に連れて来て貰ったの」



ナミとウソップの方を指差し、ニッコリと微笑む



「聞きたい事?・・・何だ?」



きょとんとした顔でをじっと見つめるルフィ。



「この子達、2人合わせていくらなの?」

「はぁ?」



間の抜けた声で聞き返すルフィ。



「だから、この2人は買うとしたら、いくらするのっ?て聞いてるの」



ニッコリ微笑みながら、とんでもない事を聞く



「・・・お前、何言ってんだ? 俺の仲間は売りモンじゃねぇぞ!?」



少し怒った声でを睨むルフィ。 
そんなルフィの顔を見て楽しげに再度、聞く



「1億ベリーでもダメ?」

「しつこいな!お前!! 1億だろうが2億だろうが、ダメだったらダメだぁっ!!」



そんなやりとりを見ていたナミがはっと気づく



(まさか・・・!?)



慌ててルフィの口を塞ごうとしたが、
時すでに遅し・・・が楽しそうに口を開く。



「困ったわね、2億でもダメなの・・・そんなに沢山お金持ってるのかしら?」

「あ!? さっきから何が言いてぇんだ!? お前!!」



イライラした様子で睨むルフィ・・・そんなルフィで遊んでるかのように見える



「さっき、町でこの子達を助けてあげたんだけど・・・
私、タダ働きは嫌いだからお金払ってね?って、この子達と約束したの。
でも、いくら貰えば良いのか判らないじゃない。だから船長のあなたに聞いたの。」

「やっぱり・・・」



がっくりと肩を落としてその場に座り込むナミ



「ナミとウソップを助けてくれたのか? 何だお前、イイ奴だな! しっしっしっ・・・」



ニコニコしているルフィを前にが続けて言う



「あなた、さっき2億でもダメって言ったわよね?・・・まぁ、
それ以上払えって言うのも可哀相だから2億にマケてあげるわ。さぁ払ってちょうだい」



ニッコリ微笑んで、ルフィに右手を差し出す



「あるのか?ナミ?」

「あるわけないでしょ!そんなお金!!」

「何だよ〜! 自分で約束したんだろ〜? 何でそんなに怒るんだよぉ〜」

「あんたが余計な事を言うからでしょっ!?」



口を尖らせて拗ねているルフィにキレているナミ…
そんなやりとりを見ていたが、ニッコリ微笑んでルフィに言う。


「払えないんなら仕方ないわね。…払えるようになるまで私をこの船に置いて頂戴vv」

「ん? いいぞ!?」

「ルフィ〜〜っ!!あんた何考えてんのよぉっ!!」


ルフィの一言にナミとウソップが一瞬固まる…がすぐに持ち直し泣き叫ぶ。


「大丈夫だ!こいつイイ奴だしな!!」


何処からそんな根拠の無いセリフが出るのか
とぼけた顔をしてルフィが言い放つ。


「と、いう事で…よろしくね? 坊や達…ふふっvv」


後ろで一部始終を見ていたサンジ・ゾロ・チョッパーに、
が振り向いてニッコリと笑いかける。


「もちろんです!!綺麗なお姉さま〜〜〜っ!!」

「ナミよりすげぇ女だな…」

「な…何だよ!? ど〜いう事だよっ!?」


そしてゴーイングメリー号に新たに1人仲間(?)が加わった









〜 to be continued 〜